●かなちゃん病院 担当医と話し合い

旅行から帰った翌日は、病院の相談員と2時に話し合い。まだ若い相談員、かなり困らせてしまったかも。でも、プロなんだからもうちょっとお勉強しましょう! そして今日は担当医と。約束の3時半より前に兄と会い、いろいろ話した。 兄がまずはこのまま置いてもらうことはできないか再度確認し、無理そうだったら言いたいことを何でも 言っていいと言われていた。 結局無理という結論だったので、今まで我慢してきたいろいろすべてを伝えた。 とにかく感情的にならないように、担当医と目を合わせ続け、最初からのことを冷静に淡々と話した。 ネットでいろいろ調べたこともしっかりと伝えた。 担当医はしばらく無言だった。さらに付け加えた。 「先生が90歳になった時、母と同じ状態になったら、同じ治療を望まれますか?」 ちょっと間があってから、担当医が小さな声でつぶやくように答えた。 「望みません。でも今の医療だったら同じ治療をされるでしょう。」 そうかな・・それは医師たちの考え方ひとつだと思う。今現在でも、強い信念を持って、延命を拒否した場合、点滴も延命になるからとしない医師も存在しないわけではない。 延命とは・・とか、尊厳死とは・・とか、患者にとっての幸せとは・・とか、家族の負担は・・とか、何も考えることもなく、今までの先輩医師たちのやってきたことを、そのまま受け継いで慣習として深い考えもなくやっているとしか思えない。 担当医はまた無言だった。続けてたずねてみた。 「すでに本人も家族も望んでいない治療で、税金を1500万円も使っています。まだ若い命を救うために、高額な治療費で苦しんでいる人もいるのに、おかしいとは思いませんか? こんなことでは日本の保険は崩壊しますよね? いずれ病院とは名ばかりの姥捨て山のような病院へ転院させることがわかっているのに、なぜ延命したのですか?」 医師の中には、家族の同意を得られなくても出来る点滴までは、延命と考えないという医師もいる。 でも、担当医は胃ろうの話の時、延命は希望しないと答えたら、点滴も延命だとはっきりと言った。 最初から延命を希望していないことは告げてあったのに、延命だと思っている点滴をしたのだ。 点滴を抜いてしまうからと両手はベッドの柵に結わかれ、両手両足、出血のあとだらけで真っ青だった。 しかも、その内容は調べた結果、かなり手厚いものだった。中には、他の医師が、そこまで入れるとは・・と驚くものもあった。そして、この内容の点滴を続ければ、いずれ血管がボロボロになり、針の差し替え時等、患者にとって痛みを伴うとも。病室に行っている間に、点滴の針を抜いたり、刺したりする時間と重なるのがとてもいやだった。かなちゃんがとても痛がっていたから・・・ しばらく間があって、担当医から思いがけない言葉が・・・ 「今後、最小限の補液意外の治療は一切しないというお約束なら、このままいてくださってかまいません。」 え? どうした? いきなり・・・ 補液意外の治療なんて、最初からこっちは望んでいないって言ってるのに今さら! でも、とにかく転院しないですむのなら、何でもありがたいからいいことにしよう。。。 病室へ行き、かなちゃんに伝えた。「このままこの病院にいていいって言ってくれたよ!」 入院以来、見たこともないような嬉しそうな笑顔だった。 転院の話をした時、「こうやって寝ているだけなんだから、あたしはどんな病院でもいいから。」 って言っていたのに、やっぱり不安だったんだね。 紹介された病院へ説明を受けに行った時に思った。たとえ負担が多少増えても、違う病院にしたい。 そしていろいろ調べたけど、老健も介護型療養病院も無理。特養はコネでも無い限り、どれだけ待たされるかかわったもんじゃない。結局うちの経済状態では紹介された病院しか無理だった。 担当医の考えがなぜ変わったのかはわからない。拘束を忘れたがための骨折、院内感染等、あまり騒がれたくないのか・・ それとも、心底いやなやつではなく、意外と良心的な部分もあったのか・・・ 理由はどうであれ、かなちゃんに辛い思いをさせずにすんだのだから、もういい。 今までは、病院で担当医がいるかもと思うだけで苦痛だった。週に4回しかいないうえ、ほとんど外来の所にいるから、まず会わないんだけど、同じ建物の中にいると思うだけでもいやだった。 なるべく少なくても週に二回くらいと思っていたけど、最悪の精神状態の時は、週一回だったこともある。 今となっては、彼の判断で転院せずにすんだのだと思えば、苦痛も和らぐだろう。 これからは、もっとまめに病院へ面会に行くことにしようと思う。 一番いい結果となったのだけど、この十日間、疲れた。いろんな意味で疲れた。 いい結果が出たんだから、バンザイっていっきに元気になってもいいとこなんだけど・・ なんだかんだ言って、税金を使い続け、救急病院のベッドを長く占領し続けるというルール違反、そういう人がいるから救急車がたらい回しになるのだという事実、諸々考えると気が重い。 そうは言っても、救急病院の先の受け皿が金銭的に余裕の有る人にしかないという現実。これを国が考えてくれなければどうにもならない。 いろいろ調べているうちに知った、怖い事実。高額の年金をもらっているお年寄りの場合、どんなことをしてでも生き延びさせてくれという家族もたくさんいるとか・・人間って怖いね。 そして、うちみたいな患者がいると、病院経営は本当に大変なんだということもわかった。 申し訳ないとは思うけど・・・拘束を忘れたがために骨折したあの日、次の入所先も決まったとこだった。 かなちゃんが大好きだったデイケアに通っていたセンターで、受け入れてくれることになったいた。 老健だから費用もそんなにはかからない。こんなことになったのは、すべて骨折したからなのだから 仕方がないと諦めていただくしかない。 ほんとになんか疲れたよ・・そこはやはり歳ってことか。。。